关于《第二次出入国在留管理基本计划(案)》的意见整理与说明(日文版)
写在前面
目前日本出入国在留管理厅(入管厅)正在对《第二次出入国在留管理基本计划(案)》公开征求意见。该计划案依据《出入国管理及难民认定法》制定,是入管厅关于今后出入国在留管理行政的纲领性文件,自1992年"第一次计划"以来,历经五次修订,此次时隔约七年重新制定"第二次计划"。
这份文件之所以重要,是因为它将决定今后数年日本对待在日外国人、以及未来接收外国人的基本方向——从入境审查、在留资格审查、永住与归化条件,到共生支援、驱逐执法、难民保护,几乎涵盖了在日外国人生活的方方面面,都会受到这份计划的直接影响。
法案意见征集截止时间是2026年7月10日零点,留给大家阅读和提交意见的时间非常紧迫,而这份计划案内容很多、用语专业且不少地方措辞暧昧。因此我们尝试对草案主要方针提出的政策方向逐条进行了梳理,并针对其中一些我们认为存在问题、值得关注的条款,整理了初步的意见方向,供大家在自己撰写、提交意见时作参考。大家无需全部读完,只需选择自己关心的部分阅读参考即可。
出入国在留管理行政的主要方针如下
严格且顺畅地实现出入国管理(JESTA电子渡航认证制度等)
实现外国人的适正在留管理(永住许可、特定在留卡、留学生资格外活动审查等)
面向"秩序共生社会"的外国人接收环境整备(日语与制度学习、共生支援等)
面向"安全安心社会"的不法滞留者对策推进(驱逐出境、监理措置制度等)
难民及补充保护对象者的适正迅速保护与支援
其他(手续费上涨、DV/人身贩卖受害者保护、外国人接收基本方针的检讨等
法案原文请参照如下链接:
出入国在留管理基本計画(案):public-comment.e-gov...
需要说明的是:由于时间紧张、篇幅庞大,我们的梳理和意见整理难免会有疏漏、理解偏差甚至错误之处,非常欢迎大家指正、补充,也欢迎大家在此基础上提出不同的意见角度。
这类政策性文件的意见征集,很多时候声音容易被忽略,但哪怕只是几句话、一个具体的关注点,只要提交上去,就是一份留在记录里的声音。如果这份计划案的走向会影响到你自己、你的家人朋友、或者你所在的社群,希望大家能抽时间看一看、写一写,一起参与这次讨论。按照以下按目录顺序,用日语分方针逐条列出我们梳理出的意见,可以直接跳到自己需要的部分阅读参考。
「第二次出入国在留管理基本計画(案)」に関する意見
1 厳格かつ円滑な出入国管理の実現(3)今後の方針 に関する意見
意見①:JESTA導入後の情報の一元管理について、第三者による監督の仕組みを設けるべき
対象箇所:ウ(電子渡航認証制度(JESTA)の導入)で収集される渡航者情報、およびエ(デジタル技術の更なる活用)における「JESTAの導入後は、短期滞在者の入国から出国までの情報を一元的に管理し、不法滞在者対策等に活用する」との記載
意見内容: JESTAでは、世界中から日本に入国しようとする膨大な数の旅行者について、渡航目的や滞在先などの個人情報が収集される。さらに本計画案では、JESTA導入後、これらの情報を含め、短期滞在者の入国から出国までの情報を一元的に管理し、不法滞在者対策等に活用するとされている。このような大規模な個人情報の収集と、その後の一元的な管理は、必要な範囲を超えたプライバシーの過剰な収集や、事実上の監視につながるおそれがある。
一元管理を進めるにあたっては、次の点をあらかじめ明確にすべきである。
収集した情報をどのくらいの期間保存するのか(保存期間)
何のために、どの範囲まで情報を使うのか(利用目的・利用範囲)
警察や税務当局など、他の行政機関とどこまで情報を共有するのか(省庁間の共有の境界線)
また、これらの情報の取扱いを継続的にチェックする、出入国在留管理庁から独立した第三者機関による監督の仕組みを設け、定期的に運用状況を検証し、その結果を公表することを求める。こうした監督機関がない状態で、数百万人規模の外国人の行動履歴や個人情報を一元的に管理することは、人権保護やプライバシー保護の観点から大きなリスクを伴う。
理由: 本計画案は、JESTA導入後に「一元的に管理」し「不法滞在者対策等に活用する」と述べるのみで、「等」の範囲は限定されておらず、当初の目的以外にも利用範囲が際限なく広がる可能性がある。また、本計画案には、この一元管理された情報について、個人情報保護委員会をはじめとするいかなる機関が監督に関与するのかについての記載が一切ない。現行の個人情報保護法上、個人情報保護委員会は行政機関の個人情報処理に対しても一定の監督権限を有するとされているが、出入国管理という特殊な行政分野において、その監督権限が具体的にどこまで及び、実際にどの程度の密度で行使され得るのかは明らかではない。本計画案自身が監督主体・監督の仕組みについて何ら言及していない以上、この監督空白の状態のまま情報を集中管理することは、個人情報保護法が定める目的明確化の原則や必要最小限度の原則と抵触するおそれがある。
意見②:「出入国管理上のリスクが高い者」の判断基準を明確にし、国籍・地域による差別的取扱いを防ぐ検証の仕組みを導入すべき
対象箇所:イ(関係機関との連携強化)のうち「出入国管理上のリスクが高い者」という表現
意見内容: 「出入国管理上のリスクが高い者」とは、具体的にどのような基準で判断されるのか。国籍や出身地域によって、事実上の差別的な取扱いが生じることを、どのように防ぐのか。本計画案および今後策定されるJESTAの運用細則においては、「リスクが高い者」の判断要素とその重み付けを、できる限り具体的に公開すべきである。また、国籍・宗教・出身地域のみを独立した判断材料として用いることを明確に排除すべきである。あわせて、統計データに基づき、この判断基準が特定の国籍・地域に不釣り合いに集中する結果を生んでいないかどうかを定期的に検証する仕組みを導入することを求める。
理由: 現在の表現は内容が曖昧な概念であり、予測可能性も検証可能性も欠けている。このままでは、実際の運用において、個人の具体的な行動ではなく、その人が属する集団の特徴(国籍・地域など)によって審査を厳しくする、いわゆる「プロファイリング(属性判定)」的な審査に陥りやすくなる。これは、憲法第14条が定める平等原則、および日本が締結しているICERD(人種差別撤廃条約)が禁止する人種・民族に基づく差別的取扱いと抵触するおそれがある。
意見③:システムの誤判定に備え、不服申立てと行政救済の仕組みを整備すべき
対象箇所:ウ(電子渡航認証制度(JESTA)の導入)
意見内容: JESTAのシステムが誤って判定を行い、本来問題のない旅行者が入国認証を拒否された場合について、本計画案には不服申立てや行政救済の仕組みについての記載が一切ない。制度設計にあたっては、JESTAの認証が得られず入国を拒否・延期された旅行者について、次の権利を明確に定めるべきである。 (1)出入国在留管理庁に対して不服を申し立てる権利 (2)拒否された理由の開示を受ける権利 (3)合理的な期間内に再審査を受ける権利
また、こうした申立てのための窓口や、審査にかかる期間の目安についても、あらかじめ公表すべきである。さらに、渡航前の審査システムに技術的な不具合や誤判定、処理の遅延が発生した場合、かえって入国審査の待ち時間が長くなる可能性がある。同種のシステムは他国でも導入初期に同様の問題が生じており、このような事態にどう対応するのか、あらかじめ体制を整備しておく必要がある。
理由: 本計画案は、システムの仕組みについての説明にとどまり、旅行者側の救済手段については触れていない。行政手続において、処分の理由を告知すること、および不服申立ての道を確保することは、一般的な適正手続の要請である。JESTAの認証結果が、実質的に入国拒否処分と同様の効果を持つ以上、これに見合った手続保障を設けるべきであり、そうでなければ適正手続の欠如という問題を生じさせるおそれがある。
2 外国人の適正な在留管理の実現(3)今後の方針 に関する意見
意見①:特定在留カードの事実上の強制化について、法の下の平等の観点から懸念がある
対象箇所:カ(特定在留カード等の運用開始)のうち「今後は、全ての在留外国人が原則として特定在留カード等を取得するための方策として…検討する」および「受入れ機関…の責務において受け入れた外国人にマイナンバーカードを取得させる取組についても検討し」の部分
意見内容: 以下の3点を明確にすることを求める。 (1)特定在留カードの取得は、完全な任意取得の原則を維持すること (2)切替・更新手数料の引上げや行政手続上の新たな障壁の設置など、事実上の取得強制につながる手段を用いないこと (3)受入れ機関(企業・学校等)に求められる「取得を促す」取組について、その具体的な方法と範囲をあらかじめ明確にし、外国人本人が取得を望まない場合に、在留審査や雇用関係において不利益な取扱いを受けることがないようにすること
理由: 本計画案は、在留外国人については「原則として全員が特定在留カード等を取得する」との方針を示し、受入れ機関に対してマイナンバーカードの取得を「促す」責務を課すとしている。一方、日本国民についてはマイナンバーカードの取得は法律上、任意取得の原則が維持されている。外国人にのみ事実上の取得義務を課し、国民には任意取得を維持するという制度設計は、国籍による取扱いの差異を生じさせるものであり、法の下の平等という基本原則に反するおそれがある。
意見②:永住許可への語学要件追加・取消事由の拡大について、行政裁量の濫用を防ぐ仕組みが必要
対象箇所:ウ(永住許可制度の適正化等)のうち「一定水準以上の日本語能力を有していることや、日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラムの受講を条件とすることのほか…見直しなども含めて検討していく」および「施行状況を踏まえて、必要が生じた場合には、取消事由の範囲を拡大することなど、更なる検討を進める」の部分
意見内容:
(1)地方税・社会保険料の未納問題については、催告、分割納付、破産手続における免責等、既存の一般的な国内法上の救済手続を優先して適用すべきである。永住資格の取消しは、故意・悪意があり、かつ十分な救済手続を経てもなお履行を拒否するような極めて限定的な場合にのみ認められるべきであり、単に未納の事実があるという理由のみで取消しの対象とすべきではない。失業や傷病等によって一時的に地方税・社会保険料を十分に納付できなかった場合を、在留資格の取消し事由に含めるべきではない。
(2)永住資格の取消事由の「拡大」については、その範囲と具体的な判断基準をあらかじめ公開すべきであり、無制限に行政裁量を拡大する余地を残すべきではない。行政裁量の濫用によって排外的な風潮が助長されることのないよう、十分な防止策を講じるべきである。
(3)日本語能力・制度理解に関する新たな要件を追加するにあたっては、当該学習プログラムの提供主体、費用負担の在り方、地域的な提供体制、および経済的に困難な状況にある者への減免措置について、あらかじめ明らかにすべきである。要件の追加のみを先行させ、無償・低額での学習支援体制の整備を伴わない場合、外国人住民の経済的負担を一層増大させることになりかねない。加えて、本計画施行前に既に永住許可を取得している者への遡及適用は、明確に排除すべきである。
理由: 永住資格は、在留外国人が日本社会において生活の基盤を築くための根幹をなすものである。行政裁量の範囲が明確でなく、十分な救済手続の保障もないまま制度が運用された場合、裁量権の濫用を招きやすく、ひいては社会における排外的な風潮を助長するおそれがある。これは、2024年入管法改正時の衆議院・参議院附帯決議が求める「特に慎重な運用」の趣旨とも整合しないおそれがある。
意見③:留学生の資格外活動に関する審査強化と、生活困窮による地下労働市場化のリスクについて
対象箇所:イ(在留管理の一層の適正化・実態把握の強化)のうち「複数の稼働先で資格外活動を行っている者を特定するなどして…2026年4月から開始しており、今後は、マイナンバーによる情報連携に合わせて所得情報を活用することで、より的確かつ厳格な審査の実施を検討し」の部分
意見内容: 物価上昇や円相場の変動が続く経済状況を踏まえ、留学生に認められる資格外活動(アルバイト等)の上限について、実際の生活費の変化を反映した見直しを行うべきである。あわせて、上限を超えて就労している個別の事案を審査するにあたっては、「生活困窮によるやむを得ない事情」と「制度の意図的な濫用」とを区別し、一律に処罰的な取扱いを行うことのないようにすべきである。
理由: 2026年4月より、複数の勤務先における就労状況の把握を通じて留学生の超過就労の取締りが強化されており、今後はマイナンバーによる所得情報との連携によって、さらに厳格な審査が予定されている。しかし、物価上昇や急激な円安が続く中で、学費・生活費の実態を考慮せず、週28時間という上限のみを機械的に適用すれば、経済的に困窮する一部の留学生を、無申告・無納税の地下労働市場へと追いやる結果になりかねない。これはかえって実態把握を困難にし、制度の趣旨に反する結果を招くおそれがある。
意見④:特定技能・育成就労制度における日本語要件の追加が、長期就労の道を狭める懸念
対象箇所:イ(在留管理の一層の適正化・実態把握の強化)のうち「特定技能2号に日本語要件を追加する」等の記載
意見内容: 日本語要件・資格要件を追加するにあたっては、あらかじめ、当該要件が特定技能2号への実際の移行者数や、当該産業分野における人材確保の状況に与える影響を評価すべきである。あわせて、「日本語能力・生活適応力の確保」と「基層労働者が日本において長期的に安定して就労・生活できる道を確保すること」との間で、どのようにバランスを取るのかについて、その考え方を示すべきである。
理由: 本計画案自体が、深刻化する人手不足への対応を政策目的の一つとして繰り返し言及している。にもかかわらず、制度の最終段階において語学・資格要件を継続的に引き上げれば、育成就労を経て特定技能1号を取得した労働者であっても、2号への移行や長期的な定着が困難になる可能性がある。これは、労働力の流出や不安定化を助長し、人手不足の解消という政策目的そのものと矛盾する結果を招きかねない。
意見⑤:在留手続の全面オンライン化・キャッシュレス化に伴う、対応困難な層への配慮の必要性
対象箇所:ア(在留管理DXの推進)のうち「在留申請及び届出については、原則オンライン化を進め、在留関連手続に伴う手数料の支払にキャッシュレス決済を導入する」の部分
意見内容: 本計画案には、デジタル機器の操作に不慣れな高齢の在留外国人や、デジタル化への対応が十分でない中小・零細の受入れ機関に対する経過的な支援措置についての記載がない。DXを全面的に推進する一方で、窓口での対面申請や現金による支払いの選択肢を維持するとともに、いわゆる「デジタル弱者」や、デジタル化への対応が遅れている中小企業に対して、必要な支援や十分な移行期間を設けるべきである。
理由: 行政手続のデジタル化を進めるにあたり、十分なアクセシビリティ(利用可能性)確保のための措置が伴わない場合、事実上、特定の利用者層を制度から排除する結果を招くことは、各国のデジタル・ガバメント改革において繰り返し指摘されてきた一般的な課題である。本計画案についても、対応が十分でない「デジタル弱者」が新たに制度上不利益な立場に置かれることのないよう配慮すべきであり、そうでなければ「全ての在留外国人の利便性向上」という政策目的そのものと矛盾する結果となる。
3 外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた外国人の受入れ環境整備(3)今後の方針 に関する意見
意見①:「共生支援」と「在留審査」を制度的に連動させることについて、基層の外国人住民に過重な負担を課すおそれがある
対象箇所:イ(日本文化・慣習の理解促進、日本語能力向上等に向けた取組)のうち「上記のプログラムの内容を理解していることを在留審査の考慮要素とすること(対象とする在留資格を含む)…についても検討を進め」の部分
意見内容: (1)日本語・制度学習プログラムの「理解度」は、在留資格に関するいかなる審査(更新、変更、永住許可を含む)においても、必須の条件とすべきではない。その性質は、あくまで奨励的・福祉的な支援策にとどめるべきである。
(2)仮に審査の考慮要素として取り入れる必要がある場合には、事前に、具体的かつ運用可能で検証可能な判断基準を公開すべきであり、「理解度」という曖昧な表現によって裁量が濫用される余地を残すべきではない。
(3)無償または低額での学習支援体制、対象となる在留資格の範囲、および経済的・時間的な事情を抱える者(フルタイムで就労する基層労働者や留学生等)に対する合理的な免除措置や代替的な認定方法について、あらかじめ明確にすべきである。
理由: 「日本の規則や文化を理解しているかどうか」については、客観的かつ数値化できる判断基準が本来存在しない。本計画案においても、どの程度に達すれば「理解している」とみなされるのかについて、何ら説明がない。このような内容の不確定な概念を在留資格審査と結びつければ、現場における審査基準の不透明化や、担当者ごとの運用のばらつきを招き、新たな不公正を生じさせるおそれがある。日本語や制度に関する学習は、本来、共生を促進するための福祉的な支援策として位置づけられるべきものであり、在留資格審査における必須の審査要件とすべきではない。これを在留資格の更新・変更、さらには永住許可の審査要件とした場合、日々の就労や学業ですでに大きな負担を抱えている基層労働者や留学生に対し、更なる精神的・時間的負担を強いることになる。また、これは外国人に対する事実上の同化の強制に当たるおそれがあり、文化的多様性の尊重という国際的な人権規範の趣旨とも緊張関係を生じさせかねない。
意見②:共生政策が「外国人の一方的な同化」に偏重しており、双方向的な多文化共生の視点を欠いている
対象箇所:ア及びイ(外国人向けの情報発信・相談対応の支援強化、日本文化・慣習の理解促進等)の全体的な内容
意見内容: 外国人向けの日本語・制度学習プログラムを推進すると同時に、日本企業の雇用主、地域社会の住民、教育機関等を対象とした多文化理解のための教育・研修についても、同時並行的に制度設計を行うべきである。あわせて、これらの取組を「外国人受入環境整備交付金」等の既存の政策的枠組みの支援対象に含め、双方向的かつ対等な共生教育の体制を構築すべきであり、外国人のみに「模範的な日本の住民となること」を一方的に求めるべきではない。
理由: 「共生」とは本来、双方向的なプロセスであるべきであり、外国人が一方的に日本社会に同化していく過程ではない。本計画案の施策が、一貫して「外国人がいかに日本に適応するか」にのみ重点を置き、受け入れる側(地域社会、雇用主、一般住民)による相互理解のための取組を欠いたままであれば、本計画案及び関連する「総合的対応策」において繰り返し言及されている「多様性の尊重」という理念そのものと矛盾することになる。また、これでは異文化間の摩擦を根本的に解消することはできず、社会に潜在する排外的な風潮を払拭することも困難である。
4 安全・安心な社会の実現に向けた不法滞在者対策等の推進(3)今後の方針 に関する意見
意見①:住民による通報の仕組みが、外国人全体に対する社会的な猜疑と分断を助長するおそれがある
対象箇所:ア(不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~を踏まえた退去強制手続等の着実かつ効果的な実施)のうち「住民からの相談で得られた入管法違反に係る情報を活用するなどしてその対応強化についても検討していく」の部分
意見内容: 住民からの通報を積極的に奨励すべきではない。仮に通報情報を活用せざるを得ない場合であっても、その採用基準を厳格に限定し、次の点を明確にすべきである。 (1)通報情報は、外見、言語のアクセント、生活習慣といった主観的な印象のみに基づくものではなく、具体的かつ検証可能な客観的事実に基づくものでなければならない。 (2)悪意による虚偽通報・誣告に対する懲戒の仕組みを設けること。 (3)通報情報の確認プロセスおよび採用の基準を公開し、無差別な通報によって執行機関のリソースが濫用・浪費されることを防ぐこと。
理由: 一般住民間の相互通報を奨励・活用すれば、日本社会において外国人全体に対する「有罪推定」的な風潮や排外的感情を助長しかねない。その結果、適法に在留する外国人が、単に外見、言語、生活習慣が異なるというだけの理由で、悪意ある通報や不当な職務質問に頻繁にさらされるおそれがある。これは方針3が掲げる「共生社会」の理念に反するものであり、地域社会における信頼関係を著しく損なうことになる。通報情報自体の信頼性を検証する仕組みが不明確であることも、近隣トラブルや人種的偏見に基づく通報に濫用されるリスクを生じさせている。
意見②:デジタル技術を用いた摘発強化について、「プライバシーの十分な尊重」を担保する具体的な法的枠組みが欠けている
対象箇所:ア中「外国人のプライバシーを十分尊重しつつ、デジタル技術の活用を含め、摘発に必要な情報の収集・分析機能を強化していく」および、JESTA導入後「外国人の入国から出国までの各種情報の一元的管理の実現を目指した上でのデジタル技術の活用」の部分
意見内容: 「外国人のプライバシーを十分尊重する」という原則を、具体的にどのような法的枠組みによって担保するのかを明らかにすべきである。データの収集範囲、分析手法の適法な限界、データの目的外利用の防止策を明確にするとともに、特定の国籍や外見的特徴を有する集団に対して取締りを強化することが、事実上の差別的な取締りに当たらないかどうかについて、事前審査の手続を設けるべきである。単に「プライバシーを尊重する」という宣言的な記載にとどめるべきではない。
理由: 個人情報の収集・分析・利用について具体的な制約が設けられなければ、デジタル化による効率化を名目として、特定の国籍や外見的特徴を有する人々に対し、不均衡な取締りが行われ、事実上の差別的な法執行につながるおそれがある。
意見③:市区町村への被仮放免者情報の「プッシュ型」提供について、行政機能の逸脱と人道上のリスクがある
対象箇所:ウ(被収容者の適切な処遇の確立と監理措置制度の適正な運用)のうち「都道府県警察が…地方出入国在留管理官署への当該被仮放免者等に係る情報提供を着実に実施する」および「出入国在留管理庁が把握する被仮放免者等の情報の市区町村に対するプッシュ型での提供を開始する」の部分
意見内容: 以下の点を明確にすべきである。 (1)出入国在留管理庁が市区町村に被仮放免者・被監理者の情報を提供する具体的な利用目的(住民登録の確認、生活保護資格の審査、教育・医療サービスの提供等のいずれであるか)およびその利用範囲。 (2)市区町村の窓口が、実質的に入管の法執行・監視機能を担うことを求められるべきではないこと。市区町村の法定の役割は、外国人住民を含む区域内住民に対する福祉、教育、基本的な生活保障の提供に限定されるべきである。 (3)生活上・医療上の困難を抱える外国人が、自らの情報が法執行目的に利用されることを恐れて市区町村の窓口への相談をためらうことがないよう、防護的な仕組みを設けるべきこと。
理由: 市区町村は基礎的な地方自治体として、外国人住民を含む区域内住民に対して福祉、教育、基本的な生活保障を提供することを本来の役割としており、入管の法執行や監視機能を担う立場にはない。出入国在留管理庁が、強い行政的な管理色を帯びた被仮放免者情報を、その具体的な利用目的を明示しないまま市区町村に一方的に「プッシュ型」で提供することは、地方の福祉窓口を事実上の法執行補助機関へと変質させかねない。その結果、生活上の困難を抱える外国人が、追跡や通報を恐れて役所への相談を避けるようになれば、かえって潜在的な人道上の問題を生じさせることになり、地方自治体の法定の職務範囲を超えるものである。
意見④:監理措置制度は、保証人(監理人)の要件が過度に厳格であるために形骸化しており、長期収容の問題を解決できていない
対象箇所:ウ中「監理措置制度を効果的に機能させるには、十分な資力を有する監理人が相当数確保されることが不可欠であることから…監理人が見つからないことが原因で収容が長期化するような事例が多くみられる場合には…改善に向けて取り組んでいく」および「原則どおり仮放免制度を例外的な措置として位置付けた運用を行う」の部分
意見内容: 「監理人」に求められる資力等の要件を緩和すべきである。あるいは、政府が設置する中立的な第三者機関が、監理人の役割の一部を担うことを検討すべきである。これにより、身寄りのない立場の弱い外国人(とりわけ難民認定申請者)が、実質的に要件を満たす保証人を見つけられないという困難な状況を緩和すべきである。仮放免を「例外的な措置」として位置付けることに伴い、かえって収容の長期化という問題が悪化することのないようにすべきである。
理由: 本計画案自体が「監理人が見つからないことを原因とする収容の長期化事例が多く見られる」という問題をすでに認めているにもかかわらず、その対応については「検討を行う」との記載にとどまり、具体的な解決策が示されていない。新設された監理措置制度は、経済的・法的な責任の多くを民間の監理人に転嫁するものであるが、経済的に困難な状況にあり、社会的なつながりも乏しい外国人(特に難民認定申請者)の多くは、「十分な資力」を有する保証人を見つけることが実質的に不可能である。仮放免が例外的な措置として位置付けられる一方で、監理人の確保も困難であるという二重の制約の下では、日本が国際社会から批判を受けてきた「無期限・長期の非人道的な収容」の問題が再燃する可能性が高い。
意見⑤:送還手法の多角化・効率化が、国際法上の「ノン・ルフールマン原則(不送還原則)」と抵触するリスクを孕んでいる
対象箇所:ア中「事案に応じた形態(護送官を付した個別送還、小規模の集団送還及び保安要員を付しての送還等多角的な送還手法の検討)により送還を一層充実させ、不法滞在者ゼロを理念に取組を進める」の部分
意見内容: 送還手法の効率化・迅速化・多様化を進めるにあたっては、いかなる場合においても、難民条約上の難民または補完的保護の対象となり得る者について、個別かつ十分な保護資格の審査機会が損なわれてはならないことを、本計画案において明確に規定すべきである。具体的には、次の措置を求める。 (1)送還の実施前には、難民条約上の迫害のおそれまたは補完的保護の必要性について、独立した機関による実質的かつ個別の審査を経ることを送還の前提条件として明記すること。 (2)送還の「効率化」「迅速化」を追求する余り、審査手続そのものが簡略化・形骸化することのないよう、送還数の量的な目標(「不法滞在者ゼロ」等)の達成度を、難民認定・補完的保護の審査の質や十分性を犠牲にする形で評価しないこと。 (3)小規模の集団送還や複数の送還手法を組み合わせる運用においても、個々人の事情や保護の必要性を個別に審査する機会が確保される仕組みを維持すること。 (4)送還実施後に誤送還であったことが判明した場合の救済・原状回復の手続についても、あらかじめ整備しておくこと。
理由: 「不法滞在者ゼロ」という数値目標の達成が政策上重視され、送還の効率化・規模化(個別護送、小規模集団送還等)が推進される中で、本来、国際的な人道保護を必要とする者に対する個別審査がおろそかにされるおそれがある。日本は難民条約及びその議定書の締約国として、迫害を受けるおそれのある者を当該迫害が行われるおそれのある領域に送還してはならないという「ノン・ルフールマン原則」を国際法上の義務として負っている。この原則は、日本が締結した条約に基づく法的拘束力を有するものであり、政策目標の達成度や行政上の効率性を理由に緩和され得るものではない。送還手法の多様化・効率化そのものは合理的な政策課題であり得るが、その実施は、個別の保護資格審査という国際法上の義務の履行と両立する形で行われなければならず、本計画案にはその両立を担保する具体的な手続的保障の記載が不足している。
意見⑥:警察が一般の職務活動中に「疑い」を抱くだけで入管への通報を行う仕組みは、選択的な職務質問と差別的取扱いのリスクを伴う
対象箇所:ウ中「2026年3月に開始した、都道府県警察が各種警察活動において、監理措置又は仮放免の条件違反が疑われる被仮放免者等を認知した場合等における地方出入国在留管理官署への当該被仮放免者等に係る情報提供を着実に実施する」の部分
意見内容: 監理措置または仮放免の条件違反が「疑われる」と判断する際の、具体的かつ客観的な基準を明確にし、公開すべきである。外見、アクセント、人種的特徴のみを「疑い」の根拠とすることを明確に排除すべきである。また、本制度の実際の運用状況について、特定の国籍・民族の人々に対して不均衡な職務質問・通報が生じていないかどうかを検証するための定期的な見直しの仕組みを設けるべきである。
理由: 警察が、在留資格に関する専門的な調査ではなく、日常の一般的な職務活動の中で、単なる「疑い」のみに基づいて外国人に関する情報を入管庁に通報できる仕組みとなっているが、この「疑い」の判断基準自体が明確にされていない。このままでは、警察による街頭での職務質問において、外見やアクセントといった外形的な特徴のみを理由に、特定の人に職務質問が強化される事実上の選択的な法執行につながるおそれがある。これは、憲法第14条が定める法の下の平等の原則、および日本が締結しているICERD(人種差別撤廃条約)が禁止する人種・民族に基づく差別的取扱いと抵触するリスクを有する。
5 難民や補完的保護対象者等の適正かつ迅速な保護・支援の推進(3)今後の方針 に関する意見
意見①:AI技術の適用範囲が不明確であり、難民認定における実質的判断への関与を明確に排除すべき
対象箇所:ア「AIを含むデジタル技術の活用による業務支援の在り方を検討した上で、更なる迅速な難民等の保護に努めていく」の部分
意見内容: AI等のデジタル技術を難民等認定手続のどの具体的な工程に適用するのかを明らかにすべきである。その上で、申請者の供述の信憑性評価や案件の実質的な認定判断といった、高度に個別的な裁量を要する中核的判断過程への直接的な関与を、明確に排除すべきである。AI技術の活用範囲は、書類の整理、翻訳支援、案件のスケジュール管理といった、純粋に事務的な業務支援に限定すべきである。
理由: 難民認定申請は個人の生死に関わるものであり、複雑な政治的背景、宗教的迫害、極めて機微な身の安全に関わる情報を伴う場合が多く、単純なアルゴリズム処理に最も適さない行政分野の一つである。本計画案は「AI等のデジタル技術の業務支援への活用を検討する」と述べるのみで、AIがどの具体的な工程に関与するのか(書類整理にとどまるのか、信憑性評価や案件の振分けといった実質的判断にまで関与するのか)について、一切説明がなく、これは重大な空白である。明確な境界が設けられないまま、アルゴリズムによる実質的判断への依拠が過度に進めば、アルゴリズムに内在する偏りや出身国情報の更新の遅れにより、実際には生命の危険に直面している申請者が「濫用的な申請」と誤って判定されるおそれがある。
意見②:「濫用的な再申請」の制限は、国際人道主義の原則に反するおそれがある
対象箇所:ウ「難民認定申請者の不法就労防止の観点から、誤用・濫用的な再申請の制限など、現行の難民認定制度の更なる見直しを検討する」の部分
意見内容: 再申請の制限に係る制度設計にあたっては、「濫用的な重複申請」と「本国情勢や迫害の危険により生じた正当な再申請」とを明確に区別すべきである。後者については、独立した迅速な選別および受理のための手続を別途設けるべきであり、一律の制限によって真に保護を必要とする申請者が審査手続から排除されることのないようにすべきである。
理由: 多くの難民は、本国における情勢の変化や迫害により、最初の申請が却下された後、新たな危険に直面したために二度目、三度目の申請を行っている。本計画案が「再申請の抑止」および「不法就労の防止」のみを単一の考慮要素として一律に制限を課した場合、こうした正当な申請が審査手続に付されないまま終わり、申請者が難民としての保護資格の認定を受ける機会を失い、最終的には退去強制や、迫害を受けるおそれのある本国への帰還を強いられる結果を招きかねない。これは、日本が難民条約の締約国として負っている国際的な保護義務に反する結果となる。
意見③:出身国情報の開示及び弁護士等の立会いは、申請者の法的権利として明確に制度化すべきであり、裁量的な措置にとどめるべきではない
対象箇所:イ「判断の根拠となった出身国情報の明示及び運用状況に係る詳細なデータの開示の在り方について検討する」および「配慮が必要とされる申請者へのインタビューにおける弁護士等の立会いといった援助等については、現在実施されている措置の趣旨を踏まえつつ、その継続も含めた必要な検討を行う」の部分
意見内容: 「判断の根拠となる出身国情報の全面的な開示」及び「弁護士等の面接立会い」については、申請者の法的権利として明確に規定し、具体的な実施範囲、実施までの日程、及び保障措置を計画に明記すべきであり、「進めるに当たり必要な検討を行う」といった留保的・裁量的な表現にとどめるべきではない。
理由: 日本の難民認定率は長期にわたり低い水準にあり、審査手続の透明性が相対的に低いことは、審査の公正性について外部から疑問が呈される重要な要因の一つとなっている。本計画案は、申請者の手続的保障に直結する「出身国情報の明示」及び「弁護士等の立会い」という2つの措置について、「必要な検討を行う」「事務の遂行に支障のない範囲で検討する」といった曖昧な留保的表現を繰り返すのみで、明確な実施の約束を示していない。これらの保障措置が、出入国在留管理庁の自由な裁量でいつでも撤回し得る「恩恵的な措置」の域にとどまり、申請者が主張し得る法的権利として位置づけられない限り、審査手続の透明性及び申請者からの信頼性を根本的に向上させることは困難である。
意見④:査証段階における審査の厳格化が、真に保護を必要とする者を事前に排除するおそれがある
対象箇所:ウ「外務省に関連情報を共有し、在外公館における一層厳格な査証審査に活用してもらうこと」の部分
意見内容: 在外公館に対して査証審査の厳格化を促すに当たっては、難民または補完的保護の要件を満たす申請者が、査証段階における厳格な審査によって事前に排除され、日本国内で難民認定を申請する機会そのものを失うことのないよう、その確保の方策を明確にすべきである。また、査証段階における例外的な人道的審査の経路を設けることを提案する。
理由: 難民認定申請の誤用・濫用対策を査証審査の段階に前倒しすることは、濫用の抑止には資する一方で、「濫用の選別」と「真に保護を必要とする者の選別」という本来異なる2つの作業を混同して処理してしまうリスクを伴う。真に保護を必要とする申請者が、査証段階において「厳格な審査」を理由に査証を拒否されれば、その後、日本国内において難民としての保護を申請する機会そのものを根本的に失うことになる。これは、ノン・ルフールマン原則の趣旨と潜在的に矛盾するおそれがある。
6 その他 に関する意見
意見①:在留手続手数料の引上げについて、その根拠が不透明である
対象箇所:(1)「在留許可手数料について、応益的要素や主要国の水準等を考慮して引上げを実施し…また、JESTAの手数料についても、応益的要素等を考慮して適切に設定していく」の部分
意見内容: (1)「主要国の水準を参照する」として在留手続手数料の引上げが提案されているが、「主要国」とは具体的にどの国を指すのかを明確に公開すべきである。また、比較にあたり、各国の賃金水準、物価指数、為替変動等による購買力の違いが十分に考慮されているのかを説明すべきであり、単に絶対額のみを比較すべきではない。米国、ドイツ、カナダ、英国等における永住・長期在留に関連する費用及びそれに伴う保障内容について、十分な調査を行った上で、書面による比較報告を公表すべきである。
(2)「応益的要素」(受益者負担)の原則について、その具体的な根拠を説明すべきである。在留外国人は、所得税、住民税、消費税等を通じて、既に広く納税義務を果たしている。出入国在留管理庁のデジタルトランスフォーメーション(DX)や組織体制の拡充といった、本来一般的な行政コストの性質を有する支出について、なぜ一般財源ではなく、申請手数料という形で申請者に別途負担を求める必要があるのか、その理由を説明すべきである。
(3)手数料の大幅な引上げに伴い、これに対応する在留の権利保障や行政サービスの水準の向上が図られるのかを明らかにすべきであり、他国における手数料と保障・サービスとの対応関係を参照した改善を求める。
理由: 本計画案は、「応益的要素や主要国の水準等を考慮」という抽象的な表現のみを引上げの根拠として示しており、具体的な参照対象を明示せず、購買力を調整した比較データも提供していない。また、手数料と納税義務、行政サービスの保障との対応関係についても説明がなされていない。このため、手数料引上げの根拠には透明性及び説得力が欠けている。
意見②:DV・人身取引の被害者保護について、依然として自由裁量に委ねられており、具体的な制度設計を欠いている
対象箇所:(5)「配偶者からの暴力も重大な人権侵害であり、被害者保護の観点から、今後とも適切な対応を行う」および「人身取引の被害者が…その者の希望等を踏まえ、在留特別許可により正規に滞在できるようにするなど適切な措置をとってきた」の部分
意見内容: 「被害者保護」と「在留資格」とを切り離す制度を確立すべきである。警察または都道府県の「配偶者暴力相談支援センター」等の専門機関が、家庭内暴力または搾取の事実を認定した場合には、加害者や雇用主から独立した在留資格へと、無条件かつ自動的に変更されるべきである。出入国在留管理庁がこうした事案において有する自由裁量の余地は撤廃し、現行の「在留特別許可を状況に応じて付与する」という運用を、法的拘束力を有する自動的な救済手続へと改めるべきである。
理由: 本計画案は、家庭内暴力及び人身取引の被害者保護措置について、「今後とも適切な対応を行う」という概括的な表現にとどまっており、具体的な新たな制度設計を示していない。在留資格制度においては、配偶者ビザが婚姻関係の継続に依存し、特定技能等の資格が特定の雇用主に依存するという構造的な現実があり、これにより被害者は、警察や関係機関に助けを求めることで在留資格を失うことを恐れ、実際には助けを求められない状況に置かれている。保護措置が出入国在留管理庁の「状況に応じた裁量」にとどまり、法的に自動的な資格変更の仕組みとして確立されない限り、被害者が助けを求めることをためらう根本的な要因を解消することはできない。
意見③:外国人受入れの基本的な在り方の検討において、「社会的コストと治安」を過度に重視する方向性そのものに反対する
対象箇所:(6)「持続的な経済成長を含む我が国の経済社会の発展に資するものであるかという点に加え、社会的コスト、国内労働市場、教育、治安等といった国民生活への影響のほか…を踏まえた受入れの在り方等を総合的に検討することが重要である」の部分
意見内容: 外国人受入れの基本的な在り方を検討するにあたり、「社会的コスト」及び「治安」を中核的な評価指標として位置づけるという政策の方向性そのものに反対する。本計画案は、具体的な考慮要素を列挙するに当たり、「社会的コスト」「治安」を国内労働市場への影響と並べて明示的に挙げている一方で、外国人人口の流入がもたらす正の経済的・社会的貢献――地方における人口減少の緩和、医療・交通・物流等の地域基盤インフラの維持、地域消費市場の活性化等――については、何ら具体的な言及がなされていない。これは著しく偏った政策の方向性であり、地域人口の維持、インフラの存続、地域経済の活性化といった正の貢献についても、「経済社会の発展」という抽象的かつ包括的な表現で片づけるのではなく、「社会的コスト」「治安」と同等に重要かつ具体的な中核的考慮要素として、検討の枠組みに組み込むべきである。
理由: 外国人の存在を「社会的コスト」「治安」と直接結びつけて総合評価することは、本質的に、外国人をあらかじめ潜在的な財政的負担や治安上のリスクの源泉として位置づける発想であり、これは陳腐かつ公平性を欠いた考え方である。このような前提に立つ評価の枠組みは、本計画案自身が期待する「国民的コンセンサス」を真に形成することを妨げるばかりか、外国人に対する社会の一面的で否定的な認識を強化し、社会内部における排外的な風潮と対立を助長しかねず、本計画案が掲げる「秩序ある共生社会」という根本目標とも相容れないものである。地域人口の維持、公共インフラの存続、地域経済の活性化といった正の貢献を、「社会的コスト」「治安」と同等に具体的かつ同等の重みをもって政府の省庁横断的な定量分析の枠組みに組み込むことによってのみ、国民が全面的かつ客観的な科学的データに基づいた、真の意味での社会的合意を形成することが可能となる。一方向的なリスク評価のみに基づく偏った合意形成であってはならない。
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